経鼻内視鏡・ピロリ菌

経鼻内視鏡をご存知ですか?

経鼻内視鏡

■当院の胃カメラは極細タイプです。
今までの胃カメラの約半分の太さなので以前より楽に検査を受けられます。
■胃が心配だけど胃カメラは苦しくてイヤだという方、
経鼻胃内視鏡検査をご存じですか?

●経鼻胃内視鏡検査とは 
鼻から極細径のスコープを入れて行う胃カメラ検査のことです。
胃カメラの最中に「オエッ」となることがありますが、これは舌の付け根の舌根という部分にスコープが触れることでおこる咽頭反射が原因です。
経鼻胃内視鏡では鼻から挿入したスコープは鼻腔を通って食道に入っていきます。スコープ が舌根に触れることがないので咽頭反射はほとんどありません。そのため吐き気をほとんど感じることなく検査を受けられます。 

●経鼻胃内視鏡検査の特徴 
1.検査前に鼻腔の麻酔を行いますので、鼻の痛みはほとんどありません。
2.スコープが舌根部を圧迫しないので、のどを通過する時の”オエッ”となる反射が非常に少なく楽に検査が受けられます。
3.検査中に会話ができますのでモニターを見ながら質問ができるなど安全で納得のいく検査が可能です。 

■当院では、ピロリ菌などの内視鏡を介する感染症にも注意を払っています。 
清潔な内視鏡による検査を心がけています。安心して検査をお受けください。

極細径スコープでの経鼻胃内視鏡検査のメリット

経鼻内視鏡イメージ

【1】スコープが舌の根元(舌根)に触れることで、咽頭反射(嘔吐感)が起こります。 鼻からの挿入でこの問題が解消しました(図1)。

【2】スコープは従来の半分、5.9mmの細さです。更に、鼻に適したしなやかさでむりなく、スムーズな挿入ができます。

【3】鼻への麻酔も微量で、身体への負担が軽減されます。

【4】患者さんは、モニターに映し出される自分の胃の映像を見ながら、医師にその場で質問ができます。

【5】患者さんは検査中にしゃべれるため、安全な検査につながります。


※約2,000人のアンケートでは、約95%の患者さんが、経鼻内視鏡を希望しています。

東京女子医大消化器病センターの熟練した医師の検査が当院で受けられます。

ピロリ菌とは?

ピロリ菌拡大写真

これがヘリコバクター・ピロリです。(以下ピロリ菌とします)ピロリ菌は人間の胃の中に住んでいる細菌です。1980年代に発見されましたが、この菌が胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因となっているということが、近年明らかになってきています。
長さは2-4ミクロン(1/1000mm)で、2〜3回ゆるやかに右巻きにねじれています。片側(両側の場合もあります)に4〜8本のべん毛がついています。このしっぽをヘリコプターのように回転させて移動することから、ヘリコバクター・ピロリ(正式名 Helicobacter pylori)と名付けられました。ピロリ菌は胃の粘膜を好んで住みつき、粘液の下にもぐりこんで胃酸から逃れています。また、十二指腸の粘膜が胃と同じような粘膜に置き換わってしまった場所(胃酸から十二指腸を守るためにこのような変化をする場合があります)では、ピロリ菌が住みつくこともあります。

ピロリ菌がいるとどのような問題が起きますか?

ピロリ菌の存在により以下のような病気が起きると考えられています。 

1.胃潰瘍、十二指腸潰瘍(除菌治療が勧められる病気で保険適用となっています) 
 最も注目されている病気です。潰瘍の方は、健康な人に比べて感染率が高くなります。潰瘍は一度よくなっても必ずといってよいほど再発し、患者さんは薬をなかなかやめることができません。そして、私たち医者の間でも潰瘍は再発することが当たり前と思われてきました。ところが、除菌により再発が明らかに減少することが分かりました。どのようにして潰瘍を起こすのかはまだ完全には解明されていませんが、再発が減少するのは、この菌がいなくなると潰瘍のきずがいい状態で治ることが1つの原因と思われます。 

2.胃炎(萎縮性胃炎は除菌治療が望ましいとされています)動物実験、人体実験(この菌の発見者は自ら飲み込んで実験を行っています)から、慢性胃炎、特に萎縮性胃炎の重要な原因であることは証明されています。この菌が胃の中に入るとまず急性の胃炎が起こり、長い年月をかけて萎縮性胃炎になります。今まで萎縮性胃炎は加齢現象と言われてきましたが、ピロリ菌感染者のみが萎縮性胃炎になり、除菌によりその程度が改善します。ただし、慢性胃炎の原因にはそれ以外に、加齢、塩分の過剰摂取、アルコール、タバコ、野菜の摂取不足など多くのものがあります。 

3.胃がん 
日本では胃がんが多く、世界的にみても日本での感染率は高いようです。さらに1994年世界保健機構(WHO)はこの菌を疫学的調査から確実な発がん物質と認定しました。がんの発生にどのように関係するかが現在ようやく明らかにされてきました。現時点では、この菌に感染すると上で述べた萎縮性性胃炎(胃がんの発生母地の1つ)になり、その中のごく一部が胃がんになるという仮説が立てられているにすぎません。我が国の調査から中高年の男性でピロリ菌感染者は非感染者に比べ4倍から10倍も胃がんになりやすいことが判明しました。また、早期胃がんに対する内視鏡的粘膜切除術後のがん発生が除菌により抑制されることが報告されるなど、胃がん発生の予防効果があることはほぼ証明されました。 

4.胃過形成性ポリープ 
よくある良性のポリープです。除菌成功例では、約70%のポリープが消失します。

ピロリ菌の発見者はノーベル賞を受賞しました。

オーストラリアのロイヤル・パース病院の病理専門医ウォーレンが、胃炎をおこしている胃粘膜にらせん菌が存在していることを発見しました。ウォーレンは同じ病院に研修医としてやってきたマーシャルと共に研究をすすめ、この菌が「胃に住みついている」ということを確信し、この菌によって胃炎がおこると考えました。幸運が訪れたのは培養中にイースター(復活祭)の休日が入り、培養器に5日間いれたままにしてしまった35番目の検体でした。なんと、直径1mmの透明な菌の固まりができていたのです。1982年4月14日のことでした(実はピロリ菌の培養には最低4日かかるのです)。このことは1983年に発表され、世界中の注目を集めました。 
 さらに1984年7月、マーシャルは培養したこのらせん菌の固まりを自ら飲み込むという人体実験を行いました。10日目に胃の組織を取って調べると、急性胃炎を起こしており、そこにはあのらせん菌が存在していました。 

胃のような強酸性の環境下で、菌はなぜ生きているのでしょうか。

胃の中はpH1〜2と非常に酸性が強く、生物が生きていけるような環境ではありません。しかし、この細菌はウレアーゼという酵素を多量に持っており、これを使って胃の中にある尿素をアンモニアに変化させます。このアンモニアが胃酸を中和し菌の周囲のpHを変化させて、生存できる環境を作り上げているのです。いわゆるバリヤーを張っていると考えてください。このように非常に進化した細菌なのです。ただし、胃がんの所や十二指腸のような尿素のない所では生きていけません。

日本人はどのくらいピロリ菌に感染しているのでしょう。

ピロリ菌の年代別感染率

ピロリ菌の感染率(人口の何%の人が感染しているか)は国によってずいぶん違います。大まかに言えば、発展途上国で高く、先進国で低くなっています(Graham, D.Y. : Gastroenterol Clin Biol 13 : 84b, 1989 より改変)。特に上下水道の普及率の悪い所で高いとされています。そのような中で、実は日本人のピロリ菌感染率は先進国の中で際立って高いのです。1986年に兵庫医科大学で行われた調査では、40歳以上では発展途上国型、40歳以下では先進国型の感染率を示しています。これは、当時40歳以上の方は戦後の衛生状態が悪い時代に生まれ育ったため、このような高い感染率を示したと考えられています。1998年の調査ではそのグラフが右に移動した形になっており、日本でも、衛生状態の良い環境に育った若い人たちの感染率は低くなっていることが示されています。日本では年齢とともにこの細菌を持っている人が増えていき、40歳以上では約75%の頻度となります。人から人への経口感染(口から口)がほとんどで、家族内での母親から子供への感染(たとえば、一度口に入れた食べ物を子供に与えるなど)が主体と言われています。このようにほとんどが子供の時に感染しますが、あまり心配しないでいいと思います。たとえ感染しても大半は病気にはならず、また生活環境の進歩、生活習慣の変化とともにこの菌を持っている人は減少しているのです。しかし、ゴキブリがピロリ菌を運んでいる可能性が指摘されていますので、小さな子供のいる家庭では、台所を清潔に保ち、ゴキブリの駆除を心がけることが大切です。

ピロリ菌の検査はどのようにするのですか。

13C尿素(炭素原子にしるしをつけた尿素)がピロリ菌によってアンモニアと二酸化炭素に変わることを利用し、呼気のなかの13Cを測定する方法が精度が優れていて簡便です。呼気を集めるだけですから風船をふくらませる要領で、痛みも全くなく簡単な検査です。空腹時の測定となりますので食事はしないで来院して下さい。

どのように除菌するのですか。

細菌剤2種類と胃酸分泌抑制剤1種類を一週間服用して頂きます。除菌の治療は中途半端でやめたりすると、ピロリ菌が薬に対して耐性をもち、次に除菌しようと思っても薬が効かなくなるおそれがありますので、必ず医師の指示通りに薬を飲むことが必要です。 
ピロリ菌の除菌に成功すると、 
1)何度も再発を繰り返していた潰瘍の再発がおさえられる 
2)維持療法(潰瘍が治った後も、再発予防のために薬を飲み続けること)が必要なくなる。 
3)胃がん発生の危険因子を除去できる。 
などの効果があります。